クイックガイド

生息地破壊

ロードリ・マーズデン

食糧、衣服、住居、さらには医薬品や燃料、贅沢品の原料までもあらゆる面で自然に依存している私たち。一方、人口が増え続けることで大きな打撃をこうむっているのが他の生物種の生息地です。  

概要
自分たちの発展にばかり目を向けている私たちは、その発展の持続可能性や、他の生物種や人類の未来の世代にどう影響をおよぼすかという点に時に無関心です。これが生息地の荒廃、細分化、しいては完全な破壊につながります。 

森林破壊や木材の切り出しは生息地破壊の主な原因ですが、都市の乱開発、採鉱、公害、ダム建設、農業、森林火災、底引き網漁のほか、多くの人間による活動もまた環境に有害な影響をおよぼしています。

都市の乱開発
今日、世界各地で人々が地方から町や都市へと移動する傾向が見られ、この傾向が都市部の急速な拡大を招いています。これは都市部の農村地域への拡大を制限している多くの政府の間で認識されており、政府は緑化地帯の保存を目的に制限を設けています。市街地に非常に密集させて建物を建設する事業もこの問題に対するもうひとつの解決策です。しかし、これらの過程はしばしば政治的に慎重さを要し、管理も難しいため、結果として、広域な野生動植物の生息地が常に用地に置き換えられています。

加えて、郊外居住者による自動車の利用が二酸化炭素排出を助長し、市街地の自動車利用よりも深刻化しています。レジャーで自動車で自然の中に出かけると、それがその地域に生息する野生生物に直接的かつ、多くの場合残酷な影響を及ぼしてしまいます。 

農業
第二次世界大戦前、世界の農業はゆっくりとしたペースで産業化手法へ移行しました。機械が動物や人力に取って代わり、生産量の高い作物が、急増する人口の食糧を賄うために栽培されました。これらの変化は確かにより多くの食糧を生産することを成功させました(世界中で穀物の生産は 1945年から1980年までに倍増しました)が、 これらの集約的な方法は、生息地破壊に大きな波及効果をおよぼしました。そしてそれは、単に土地が農業によって奪われただけではなく、肥料、農薬、かんがい手法、および農業用機械による燃料消費の増加も関わっています。

「 アメリカ環境保護庁による推定では、毎年世界中で100億キロの 農薬が使用されているということです。そして、より多くの農薬を使用すれば、 この薬品に対する抵抗力が備わり、さらに多量の農薬を使わなければ 期待する効果が得られなくなります。」

同様に、私たちが使用する膨大な量の肥料が、地域の河川の水中の酸素含有量を減少させ、それがさまざまな魚種と植物種の死を引き起こしています。かんがいもまた、河川にすむ生物に影響をおよぼし、70パーセント以上の 真水の消費を農業使用が占めています。これら全ての集約的方法が組み合わさって、生産される作物の種類がかなり少なくなりました。インドでは、かつて3万種類のコメが生産されていましたが、推定では2015年までには 50種しか生産されなくなるとされています。 

ダムおよび水資源開発

ダムは、運河や堤防などの、他の水流に制御する人工的建設物と同様に、地域に住む人々に多くの恩恵をもたらすことができます。これらは水の供給を一定化させ、農地のかんがいや発電、交通や航行を支援し、洪水の被害から保護する役割を果たします。今日では、ほぼ全ての世界の主要河川にはなんらかの形でダムが建設されていますが、これらの建造物の建設で生態系が被った被害は想像をはるかに超えているかもしれません。ダムは建設現場の野生生物に直接影響をおよぼすだけでなく、下流の生息地まで台無しにしてしまいます。 

貯水池建設のために広大な地域を水没させる行為は、その地域の野生動植物に即影響を与え、かつて陸地だった生息地が、今では完全に水面下にあるという状況を生み出します。ダム建設は下流の水温と塩分濃度を変え、大幅に生息地の性質を変化させ、そこに生息していた魚や植物の生存を脅かします。加えて、どのようなかたちのダムであっても、魚が何世紀にも渡って使用してきた移動路をさえぎることになり、また魚を導くために魚梯を設けたにしても、多くの魚は移動できなくなります。このことは、アメリカ北東部の太平洋に生息するサケにとって特に際立った問題ですが、もちろん、サケがいなくなることで、クマ、カワウソ、人間など、サケを捕食しそのエサをサケに頼る他の動物種にも影響をおよぼします。 

森林火災

一部の森林地区は人間が故意に焼き払うことで開墾されます。この行為は、「焼畑」として知られています。焼畑では、植物を伐採し、放置して乾燥させ、火を放って農業用の土地を開墾します。まず、森林の一部を開墾するために放火することで、土壌中に栄養分を与え、大量の害虫を駆除し、新たな作物を栽培するのに理想的な土地にします。しかし、焼畑の繰り返しが頻繁になると、土地が不毛になることがあります。焼畑農法は理論上、持続可能なかたちで行えますが、それは十分に土地を休ませ土地に再生する時間を与えるかどうかにかかっています。しかしながら、食物を過剰に生産することにより、私たちは土地の回復を待つ忍耐力を失いつつあります。また、焼畑によって開墾された土地は、植物の根がない土壌の中を雨水がまっすぐ通過し、その際に多くの養分が雨水と一緒に流れてしまいます。 

反対に、数種の生態系は自然発生する火災に依存しており、私たちが火災を防止することが環境に悪影響を与える可能性もあります。自然火災はひとつの地域において植物種のバランスを保ち、将来のより深刻な火災を防止することに役立ちます。植物種のいくつかは種子の拡散を火災に依存しているものもあります。火災は生態系とは切り離せない部分ですが、私たちが利己的に利用すると、しばしば非常に破壊的な結果をもたらすことがあります。 

データと 数値
  • 今後30年間では、北アメリカよりも広い領域が人間の活動により被害を受けるものと推定されています。    
  • 人間活動の拡大が世界の4分の1の哺乳動物を絶滅へと追いやる脅威となっています。   
  • 木材切出しは、絶滅危惧種の約14~17パーセントに影響をおよぼし、放牧では19~22パーセント、水資源開発では約 29~33パーセント、リクリエーションでは23~26パーセント、採鉱では14~21パーセントの絶滅危惧種にそれぞれ影響を与えます。   
  • 生息地破壊の中で、人間の活動が引き起こすものが、83パーセントの絶滅危惧植物種の主要脅威となっています。
  • 季節移動を行う鳥類の個体数は40パーセント近い減少を見せていますが、これは生息地破壊と直結しています。
  • 生息地破壊は、少なくとも北アメリカで絶滅した淡水魚の73パーセントの絶滅要因でもあり、絶滅のおそれがある魚種、絶滅の危機に瀕している魚種、または絶滅が懸念される魚種に対する主要の脅威です。(海洋生物もご参照ください。)  

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